■↑全行程がほぼ平坦なため、平均時速は50㎞程度となり、集団は頻繁に縦長となる展開。風と大柄な選手達とのポジション争いなど、日本人が不得手とするレースタイプだが、ここを克服せねば世界とは戦えない。
■↑スタートラインの前方に位置取りをする日本代表U23。例年、スタート直後に行われる強豪チームによる”横風分断”にて戦線離脱するケースが多いため、それを警戒しての準備だ。幸い、比較的風が緩い天候だったため、
■↑レース中盤で逃げを決めたステファン・ビッセンジャーStefan Bisseger(スイス)、ギヨーム・ミラソーGuillaume Millaseau(フランス)、コリン・ハーダーシャイドColin Herderscheid(ルクセンブルク)の3名。最終的にはゴール数キロ前でイタリアチームによる組織的なメイン集団牽引に屈したが、終始時速50㎞程度で逃げ続けレースを動かした。
レース&カテゴリー名
ZLMツアーU23(UCIネイションズカップU23)
ZLM Tour U23
期間・日程
2018年4月14日(土)
距離
178km
EQADSからの出場選手
渡邉歩(EQADS/GSCブラニャック)
石上優大(EQADS/AVCAIX)
蠣崎優仁(EQADS)
松田祥位(EQADS)
開催地
オランダ・フス
【結果/リザルト】
1位:MOSCHETTI Matteo(イタリア)3時間51分23秒
2位:WEEMAES Sasha(ベルギー)トップと同タイム
3位:KANTER Max(ドイツ) トップと同タイム
43位:草場啓吾(日本)トップと同タイム
44位:蠣崎優仁(日本/EQADS)トップと同タイム
50位:渡邉歩(日本/EQADS)トップと同タイム
53位:松田祥位(日本/EQADS)トップと同タイム
113位:石上優大(日本/EQADS)トップから+6分44秒
114位:山本大喜(日本)トップから+6分44秒
■フルリザルト(UCIウェブページ)
<浅田顕監督によるレース後コメント>
『春のネイションズカップ3戦目は風との戦いと言われるオランダZLMツアー。チームは山本をエースに15位以内入賞を目指す。スタートから風は弱く予想を下回る難度だが50㎞/h近い平均速度で最初の1時間を消化。チームは引き続き緊張感のある位置取りを繰り返し終盤へ突入すると、細い道での位置取り争いによる落車が多発する中、山本と石上も巻き込まれてしまう集団から後退する。メイン集団に残ったのは渡邊、蠣崎、松田、草場の4名だが、約70名の集団ゴールスプリントではチームとして連携がうまく取れず集団ゴールとなった。』
<渡邉歩によるレースレポート>
『
15位以内に日本人を送り込み、ネイションズポイントの獲得を目標に挑んだ。
例年は横風強風で完走者が半分以下になるこのレース。2日前からしっかりとコース下見をし、危険なところを確認してレースに備えた。
レース当日の天候は晴れ。風はほぼ無風で穏やかだった。
レース前のミーティングでは15位以内に1人。一丸となって順位取りに行き、山本選手を中心にレースを進めることになった。
スタート30分前からスタートラインに並び最前列でのスタートを切った。
レーススタート直後から激しい位置取り。行儀の悪い連中にやられ埋もれてリアルスタート。最初からペースが速く試走した時のイメージよりはるかに速くレースが進んだ。
アタックの決まることのないまま1時間を経過。殺気立つ集団内でも皆が集まり、楽に走り脚を溜める。
強豪国複数名の攻撃に対しては流れに乗って対応するくらいでレースを進め、自分が後方に下がっていた100㎞地点ほどで3名の逃げが出来き、集団が落ち着く。
逃げとのタイム差は2分を超え、山本選手の落車があるものの復帰。スプリントは草場選手で取りに行くことを決める。ドイツを中心に集団をコントロールし加速してゆき1周5㎞の周回コースへ。
コントロールラインを通過し残り2周。
チームでまとまり40番手ほどで固まり石上選手中心に位置取るものの石上選手の落車で集団が割れストップがあるものの集団に戻る。
ここで集団には蠣崎選手と自分の2人。その後松田選手が追い付き日本人3名になる。
コントロールラインを通過した後の落車もあり更に伸びる。強引に上がり20番手程まで位置を上げるが看板でストップし後退。最後に草場選手にパスされ50位でレースを終えた。
位置取りに対して逆らわずスムーズに対応し、伸びるところでも脚を使わずにコースも覚えていたので楽に対処できた。
問題は中盤の逃げからだ。
結果としては草場選手の43位が最高位。スプリントすらすることが出来なかった。
日本チームが最後だけを狙いに行っても場所を確保することはとても難しい。考え方を変えないといけないという事は明白だった。
石上選手がレース後に言った“手順を踏まずに勝つには無理”という言葉が刺さった。
まず、逃げを捕まえる段階で、
1人でも日本チームから出す必要があった。
それを行う事によりチームとしても前で更に塊やすく、居場所を確保出来たはずだ。
更に周回コースに入る段階でも後手を踏んでいた。
自分たちは40番手ほどでじわじわと位置を上げていた。
実際に勝ったイタリア、オランダ、フランス、スロベニア、ドイツ、ベルギー、オーストラリア。強豪国は自分たちよりも前で固まっていた。先ほどの手順を踏み、1名削ってでも逃げを捕まえる意思を見せてここの中に入れた可能性はゼロではない。更に入れたならば更にスプリントに絡める。
最終周回に入る段階でも落車はあり、フランドルの勝者も落車するくらいの場所だった為、どこに居ても落車は起こりえたが、リスクを減らす意味ではその動きはかなり大きかった。
そしてこれらを乗り越えた者達がようやくチームでトレインを組みスプリントに参加できる世界。ラスト20番手に単独で上がってもラインが潰されれば終わり。
チームでその位置に居れなければ意味はないし、0秒差でゴールしました。では何も得られない。ポイントを取りに来ているのだから。
恐らく近年で一番イージーなZLMだったはずだ。
しかし勝つことを考えると技術の差も埋めなければならないと感じた。
エースをどの位置で守るか。どのように走らせるのか、無線が無いのでチームカーとの意思疎通、選手との会話、ライン取り、位置取り、予定がずれた時の対応、、、。学ばなくてはならないことはたくさんあるし、恐らくナショナルチーム全体の盲点だと思ってしまうくらい重要な要素だと感じた。
イージーだったからこそ力だけではなく1つ1つの技術、精度を上げてようやくスプリントに絡めるのだという事を認識させられたレースになった。(渡邉歩)』
<オフィシャルレースレポ映像>