【EQADSレポ】『全日本選手権ロードレースU23(6/25)』結果は実らずも、チームプレイに徹して成長を証明した選手達。(*「ジュニア」レポ含む)

Kenichi Yamazaki2022/06/25(土) - 16:34 に投稿

写真↑:スプリンターの長川達哉(EQADS)が作戦通りに本レース最初の逃げを展開し、ライバルチームにプレッシャーを掛ける。その間、チームメイト達は中盤以降の勝負所に向けて脚を温存。(All photos: Yuichiro HOSODA)

【EQADSレポ】『全日本選手権ロードレースU23(6/25)』結果は実らずも、攻めのチームプレイ展開し成長を証明した選手達。(*下部に「ジュニア」レポ有)

例年の全日本選手権に於けるEQADSは、チーム戦よりも各人が個々の力で勝ちに行く作戦が定番。しかし日本代表戦も含めた国内外転戦が普段よりも重なり、疲労によるコンディションの低下が否めなかった為、今年は組織戦を重視する戦略。結果は敗北も、狙い通りに攻めの展開を作る事ができ、シーズン後半戦に向けて光明が差す価値ある一戦となった。

レースカテゴリー名・日程

6月24日(金)『第25回全日本選手権個人タイム・トライアル・ロード・レース大会』

6月25日(土)『第90回全日本自転車競技選手権大会 ロード・レース』

開催地

広島県中央森林公園 サイクリングロード

【U23(19~22歳)リザルト】

■6月25日(土)全日本選手権ロードレースU23(6/25):

<123km(12.3 km × 10 周)>
1位:仮屋和駿(KINAN Racing Team)3時間6分12秒
2位:岩田聖矢(弱虫ペダルサイクリングチーム)+11秒
3位:香山飛龍(弱虫ペダルサイクリングチーム)+14秒
5位:山田拓海(早稲田大学/EQADS/準所属)+21秒
6位:川崎三織(EQADS)+30秒
18位:馬場慶三郎(EQADS)+55秒
44位:長川達哉(EQADS)+4分43秒
DNF:西本健三郎(EQADS)

◆フルリザルト

 

フォトレポート

写真↑:高湿度の曇り空の中、119名の選手達が出走した全日本ロードU23。前日のU23個人TTで優勝し、実力が飛び抜けた留目夕陽に注目が集まるも、誰にでも勝機がある比較的オープンなレース展開が予想された。

 

写真↑:レース序盤から多くの選手が逃げを望む活発なレース展開となり、早くも集団は伸び気味。激しい位置取りによる他選手との接触で西本健三郎(EQADS)が残念ながら脱落。

 

写真↑:レース中盤(7周目)。 山田拓海(早稲田大学/EQADS準所属)が、欧州遠征で急成長を続ける寺田吉騎(Asia Cycling Academy)と強力な逃げを形成。この動きがレースを一気に活性化させた。

 

写真↑:レース終盤に向け、満を持して攻撃を仕掛ける川崎三織(EQADS)

 

写真↑:レース終盤。山田ら2名の逃げに川崎三織(EQADS)らが合流し、優勝候補は7名に絞られる。

 

写真↑:川崎らの逃げを生かすために、後続集団内でライバルをチェックする馬場慶三郎(EQADS)

 

写真↑:日本大学に在籍しながら、UCIコンチネンタルチームKINAN Racing Teamで走る仮屋和駿が、プロチームでの経験を糧にゴール3km前で強力なアタック。一枚上手の走りで、見事な勝利を挙げた。(Photo: JCF

 

写真↑:海外転戦の疲れもあり、力及ばず6位となった川崎三織(EQADS)

 

写真↑:国内最重要戦の1つである全日本選手権ロードにて無冠に終わったものの、濃密なチーム展開とチャレンジ溢れる走りで悔いのない戦いとなった。進化を遂げたと言っても良い今回のチーム戦は、今後の結果に活きてくるはずだ。

 

浅田顕総監督によるU23ロードレース&個人TT総括コメント

昨年の全日本選手権と比べると、移籍や卒業により戦力を落としたチームでの参加となった。昨年は松田祥位が優勝した個人タイムトライアルでも川崎の5位が最高位に留まり課題を残した。

ロードレースでは4人チームの戦力不安から、いつも個々の成績を求めていた走りからエースを川崎に絞り、西本、長川、馬場と、それぞれの役割分担のもとスタートした様だ。

チームは作戦通りの動きで川崎を先頭グループに送り込んだ。成績は6位に甘んじたが、厳しいコンディションが続いていた川崎としては今出来るベストを尽くした結果と評価したい。また準所属の山田拓海(早稲田大学)も優勝を狙い非常に力強く攻撃した末5位でのゴールとなった。

全日本ロードが控えながらも、2週間前に開催されたネイションズカップ代表遠征を優先し、なお全日本でも善戦してくれた選手達にお礼を付け加えたい。

 

相川将監督によるU23ロードレース後コメント

今回の全日本選手権は各自個人の走りでは優勝は厳しいと判断したため、川崎をエースにチームプレーでチームで全日本選手権に臨むことにした。

レース展開のシュミレーションを想定し、皆でしっかり話し合い、川崎は終盤の勝負所の展開にしっかり乗ること。直近のレースで粘りの走りをしていた馬場は、万が一川崎で行けなくなった場合に備えるようにした。レースの序盤は数的に多いチームは必ず逃げにメンバーを入れてくることを想定し、長川、西本はアシストとして川崎と馬場が集団で脚を貯められるように必ず逃げに入るよう動きの確認をした。チームの走りとしては全体の展開をしっかり見極めながら対応していくかたちとなる。

レースは事前の想定した通り序盤の4名の逃げに長川が入る。メイン集団は有力選手がペースアップを図るなどするなか中盤頃に逃げを捕らえる。
そのタイミングで山田ともう一人の選手の2名の抜け出す。レース後半には優勝候補の隙を突きメイン集団から少数の抜け出しがありそこに川崎も入った。

逃げていた山田含む2名に追いつき、最終的に7名のメンバーで最終周回に突入しこのメンバーでの勝負が決定的となる。
ゴールに向かって攻防が繰り広げられ、最終的に川崎は6位でフィニッシュ。
優勝こそは逃したが序盤からのチームの連携で得たチームでの6位だったと思う。
U23全体を見て、今回はタイミングを見計らっての展開レースに感じた。距離も120kmしかないのでU23はもっと荒々しくてもいいと思うので積極的なレースを期待したい。
展開関係なく、力でねじ伏せるくらいの走りをエカーズには期待したい。

 

出場各選手によるU23ロードレース後コメント

<5位:山田 拓海(早稲田大学/EQADS準所属)>

昨年の経験から、勝負は後半になることを想定してスタート。前半は我慢し、勝負所に備えた。若干勝負に出るには早さもあったかもしれないが、可能性もあったので、先への経験に繋がったと思う。結果は5位だったが、今の全力をぶつけることができた。

<6位:川崎 三織

前日はチームで勝つために1時間以上入念に作戦を立てました。 レース序盤に人数の多いチームを含んだ逃げができた時、長川が上手く入ってくれたおかげで他チームにアドバンテージを取ることができました。そして自分もその後集団に捕まってからの全体の動きを冷静に見ながら様子をうかがいました。レース終盤2人の逃げをキャッチするために動いた数人のアタックと同調して数人まで人数を絞りました。 

最後は自足が持たず最後の登りでちぎれてしまい、6位と入賞以上の結果をもたらすことが出来ませんでしたが、ここまで残れたのはチーム全員で攻めたからこそできたことだと思います。今のコンディションの僕を信じてついてきてくれたチームメイトやサポートしてくれた方々に感謝したいです。 

<18位:馬場 慶三郎

スタート位置が後方になってしまい少し焦った。西本が一緒に居たので着いて行き位置を上げることが出来た。3週目辺りで長川が逃げに乗ったので集団で足を温存することができ、他の選手たちを消耗させる事ができた。後半になり自分は足がキツくなってきたので三織さんに託し単騎の選手のマークにあたった。チームで勝つことは出来なかったが作戦は上手くいったと思う。

<44位:長川 達哉

今回のレースは有力チームの逃げにしっかりと乗り三織さんを集団で休ませるという役割でした。 レースが始まり2周目の三段坂で有力チームのアタックが何度かかかり3人が抜け出したため自分も逃げに乗りました。5周まで逃げることができたのですが、4人しかいなかったため足を消耗してしまいましたが、集団に戻ってからもチームでまとまり前方に位置取ることができました。その周に寺田選手がアタックしてほんとうは自分が反応するべきでしたが足がなく対応できませんでした。 結果的に三織さんが逃げにブリッジをかけたのですが、自分がそこにいれたら三織さんの順位はもう少し違ったのかと思います。 しかし、作戦通りに進ませられて三織さんを送り出せたのは成長した部分だと思います。次はその次の展開にまで加われるように練習します。

<DNF:西本 健三郎

今の自分のコンディション的には序盤に有力チームが複数いる逃げに乗って一定ペースでレースを進めた方が脚が保てると考えてスタートした。スタートして馬場を引き連れて下り区間で前に上がれたが、3段坂に入るところの右コーナーで内側が詰まって接触したときにチェーンが落ちて集団の後ろまで下がってしまった。少しでも脚を節約したい中で痛手となった。再び前に上がって行こうとしたが危ない人が多く、なかなか上がれずきつい位置に居続けてしまい調子の悪さと暑さもあり早々に千切れた。

 

【ジュニア(17~18歳)リザルト(京都府美山町にて開催)】

■6月26日(日)全日本選手権ロードレース「ジュニア」:

<82.4km(10.3 km × 8 周)>
1位:杉野翔一(南大隅高校)2時間4分43秒
2位:梅澤幹太(松山工業高校)+0秒
3位:山口凱生(SBC Vertex Racing Team)+1秒
27位:町田朝陽(EQADS)+3秒
DNF:中山竜一(EQADS)

フルリザルト

写真↑:前週のJBCFレースに於ける好成績により活躍が期待された町田朝陽だったが、補給タイミングの不慣れもあり経験不足が露呈。このミスを糧として、今後の成長に期待したい。

 

写真↑:集団前方で積極的にレースを動かす中山竜一は、落車により無念のリタイア。

小俣コーチによるジュニアロードレース総括コメント

山あいの緑が美しい。耳をすませば天空から聞きなれない鳥の声。
ともすればレースの事など忘れてしまいそうな最高のロケーション
今年の全日本ジュニアは自然豊かな京都府南丹市が舞台となった。
レース当日は日差しが強く、ジュニアカテゴリーのスタートの頃には路面からもじりじりと熱が伝わってくるようだった。
EQADSからは町田と中山の2名が出走。前週、修善寺で行われたJBCFの流れ(E2、E3優勝)をそのまま持ってきてもらいたい。
1周目で形成された先頭集団に中山の姿が見えたが、そのすぐ後に落車。ニュートラルサポートによりバイク交換するも、落車による身体へのダメージが大きくリタイヤとなってしまった。
町田は終始、集団前方を維持するが補給をミスし、熱中症気味で周回をこなしていく。
結果、先頭集団にてゴールスプリントに入るも、全体として見せどころがなく終了。
勝ち負け以前に、闘う準備が出来ていない事が露呈した結果となった。
シーズン後半に向けて一度リセットし、仕切り直したい。
 

各種外部メディア・大会公式レポート

【シクロワイアード】
(6月25日)残り3kmを独走した仮屋和駿「絶対勝てるという思いを持ってアタックした」(←クリックでジャンプ)

【参考リンク】

<2022年「エキップアサダ/EQADS」レースカレンダー>

<2022年「エキップアサダ/EQADS」メンバー>